●前回のふりかえり----
これまで7回連続して、色の名前について背景や由来をお話してきました。
カラーコーディネーターには、「なぜ、その色なのか?」という説得力が必要なので、
色名の由来などもふまえた根拠を説明できると、なお、納得いただけることも多いと思います。
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さて、検定を受検される方の中には、「できれば、色彩知識を何らか役立てたい」と
思われる人も多いはずです。
知識をなんらか実務に変換してこそ、生きた勉強になりますよね。
日頃から、実際に用いられている色彩が、なぜ、その色なのかを意識することも、
これまで得た知識を応用していく力になると思います。
そこで話題の製品の色と混色についてです。
男性諸君、ごめんなさいね。今回は、化粧品のお話です。
新聞で発表された調査結果によると、女性の化粧品の購買金額は経済状況に
それほど影響を受けない、ということです。その分、化粧品会社の競争は高まるばかり。
手を変え、品を変え、浮気な女心をつなぎとめるのに必死です。
そんな中、「7年前の顔になる」をコンセプトにした話題のブランド「SUQQU」(スック)という
化粧品ブランドが登場しました。
メイクアップアーティストが自らの経験をふまえた、従来の化粧品の常識を覆す製品づくりが
注目されています。
また、メイクカラーのネーミングが「蜜柑色」など、日本人の肌に馴染む色を提案し、
日本のブランドとして、私はコンセプトに大変共感しています。
(まだ使用はしていません。なにせ、高価なので、カウンターに行くのが怖くて・・・?)
さて本題です。「SUQQU」のファンデーションと固形パウダーは、6色の粒子がブレンドされています。
しかも大きな粒子で。
その6色とは、ピンク、コーラル(珊瑚色)、イエロー、白、柔らかな紫、淡い青。
これらを混ぜ合わせると、透明感のある自然なベージュができるということです。
6色の大きな粒子を点在させる手法は、ジョルジュ・スーラ(*)の描いた裸婦の肌の色が
あまりに美しいことからヒントを得たということです。
ここで、すでに色彩学を学んでいる人は、すぐピンとくるはずです。
スーラといえば、点描です。
点描というのは、その名の通り、色を点で描く画法です。
輪郭線をとって塗りつぶすのとは違い、かなり時間と労力がかかります。
パレット上で絵の具を混ぜ合わせると、濁った経験が、皆さんもあるでしょう。
そこで、色を直接、点でカンバスに打ち付けたらどうでしょう?
ここで、色彩学です。
色を混ぜる =「混色」には、いくつかの種類があります。
絵の具などの色料の混色は、もとの色の明るさが失われるので、減法混色といいます。
しかし、色を点で描く事により、元の色の明るさが平均化する併置加法混色(中間混色)となります。
なぜかというと、私たちの目は、それ以上見分けられないほど小さな柄や細い線などは、
それらを混色した色でとらえる性質があるためです。
時代は超微粒子流行りなのに、大きな粒子にすることで、点描のような効果を生むのが、
ねらいなのですね。
人気商品の裏には、しっかりした色彩学的裏付けがありました。
そうでなければ、時代に逆行する大きな粒子の化粧品は製品化されなかったでしょう。
製品の発案者であるメイクアーティストも、経験によるものだけではなく、
色彩学的知識があったからこそ、人が納得する企画ができ、
製品化へ結びついたのではないでしょうか。
(*)インターネット美術館「ポーズする女」でもスーラの肌の色の表現をご覧になれます。
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/h-inb1/h-pim/h-srt/IPA-inb380.htm
参考文献
『田中宥久子の「肌整形」メイク—7年前の顔になる』講談社




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